ITINの例外について説明する前に、ITIN番号とは何か、なぜ取得するのかといった疑問にお答えしておくのが適切でしょう。ITINとは「個人納税者識別番号(Individual Taxpayer Identification Number)」のことです。米国で社会保障番号(SSN)の取得資格がない、またはSSNを持っていないものの、税務申告を行う必要がある個人が使用します。IRS(米国内国歳入庁)が発行する個人納税者識別番号は9桁で、9から始まります。
1996年から使用されているITIN番号は、米国に住んでいるかどうかにかかわらず、米国で連邦所得税の確定申告を行う義務がある個人に関係するものです。そのため、在留資格には左右されません。ITINを取得しただけで、米国で収入を得たり働いたりする権利が与えられるわけではありません。また、ITINはLLC(有限責任会社)の所有者や、LLCの設立を予定している方にとって特に重要です。
ITINが必要なのはどのような人か?
IRS(米国内国歳入庁)は、SSNを持たないものの連邦税の確定申告を行う必要がある個人のために、ITIN番号を設けました。ITINが必要となる主なケースは次のとおりです。
- 米国に居住し、SSNの取得資格がなく、確定申告を行う必要がある外国人。
- 米国外に居住し、確定申告を行う必要がある外国人。
- 一定期間米国に居住したことがあり、確定申告を行う必要がある外国人。
- 米国市民の外国人配偶者または扶養家族。
- (米国で)ビザを持って居住する外国人の配偶者または扶養家族。
- 米国で確定申告を行う必要がある外国人の研究者や留学生。
- PayPalなどのオンライン決済システムを利用する必要がある個人。
ITIN番号を取得するには?
ITINの申請は、年間を通じていつでも提出できます。ITIN番号の申請者に代わって必要な手続きを行うコンサルティング会社を利用すれば、手続きが楽になります。そうすることで、米国で商業活動や法的活動を行う個人にとって、複雑に見える申請手続きをより簡単に進めることができます。IRSは、ITINの電子申請を受け付けていません。
ITINの申請の手続きは、まずIRSからフォームW-7を入手することから始まります。記入したフォームW-7は、パスポートまたは外国人であることを示す書類とともにIRSに送付しなければなりません。書類は有効なものでなければなりません。2012年より前は、パスポートの公証済みコピーを送付すれば十分でした。しかし、制度の変更により、有効期限内のパスポートの原本を送付しなければならなくなりました。
IRSは、必要書類の原本を受け取ってから60日以内に、フォームに記載された住所へフォームW-7を返送します。書類が返却されない場合は、IRSに800-829-1040(米国内)または267-941-1000(米国外)で問い合わせることができます。また、有効な米国ビザ、確定申告書、ご自身と会社を紹介する書類を添付することで、承認される可能性を高めることもできます。
米国へ渡航する予定がある場合は、IRSに予約を入れて対面で申請することができます。これにより、本人確認の問題が解消されます。パスポートなどの書類の原本は、予約した面談の際に窓口で提示します。申請の結果は、この場合もフォームに記載した住所に送付されます。
ITINの申請をIRSに提出するには?
郵送の場合:
フォームW-7、確定申告書(該当する場合)または例外規定で求められるその他の書類、および前述の「添付書類の要件」で説明した書類を、次の宛先に郵送してください。
Internal Revenue Service
ITIN Operation
P.O. Box 149342
Austin, TX 78714-9342
申請書を郵送する場合は、確定申告書の記入説明書に記載されている郵送先住所を使用しないでください。
民間の配送業者を利用する場合:
民間の配送業者を利用する場合は、フォームW-7、確定申告書(該当する場合)または例外規定で求められるその他の書類、および前述の「添付書類の要件」で説明した書類を、次の宛先に送付してください。
Internal Revenue Service
ITIN Operation
Mail Stop 6090-AUSC
3651 S. Interregional, Hwy 35(ハイウェイ35号線)
Austin, TX 78741-0000
発送日を証明する書面の入手方法については、民間の配送業者にお問い合わせください。
対面の場合:
指定されたIRSの納税者支援センター(TAC)を訪れてITINを申請することができます。TACでは、主たる申請者と副申請者およびその扶養家族について、書類の原本と発行機関による認証済みコピーを確認できます。扶養家族については、TACでパスポート、国民身分証明書、出生証明書を確認できます。
受理代理人を通じて申請する場合:
IRSが認定した2種類の受理代理人のいずれかを通じて申請することもできます。
- 受理代理人(AA)
- 認証受理代理人(Certifying Acceptance Agent、CAA)
受理代理人(AA):受理代理人(AA)は、フォームW-7の記入と提出をサポートできます。代理人の一覧は、https://www.irs.gov/individuals/international-taxpayers/acceptance-agent-program にアクセスし、検索ボックスに「acceptance agent program」と入力するとご覧いただけます。
認証受理代理人(CAA):認証受理代理人(CAA)は、主たる申請者と副申請者およびその扶養家族について、書類の原本と発行機関による認証済みコピーを確認できます。ただし、外国の軍人身分証明書は除きます。
ITINの例外的な状況とは?
確定申告のためのITINの要件には、いくつかのITINの例外があります。以下の基準のいずれかに該当する場合は、ITINを取得する必要がないことがあります。
ITINの例外1:受動的所得に対する第三者による源泉徴収
- 米国に投資し、パートナーシップ所得を得ている米国または外国のコーポレーション(法人)のパートナー。
- 当課税年度中に、賃貸収入、年金、年金保険、配当、ロイヤルティなどの分配を受ける個人。
- 米国内での取引または事業と実質的に関連する所得を生む利付銀行口座を開設し、IRSへの報告と連邦税の源泉徴収の対象となる個人。
- IRSへの報告と連邦税の源泉徴収の対象となる所得を生む利付銀行口座を開設した、税務上の「居住外国人」。
ITINの例外2:その他の所得
米国の租税条約の特典を申請し、次のいずれかを受け取る個人。
- 賃金、給与、報酬で、源泉徴収義務者にフォーム8233を提出する必要があるもの
- 奨学金、フェローシップ、助成金で、源泉徴収義務者にフォームW-8BENを提出する必要があるもの
- ギャンブルの賞金
ITINの例外3:住宅ローン利息の第三者による報告
- 米国内にある不動産について住宅ローンを組んでいる個人
ITINの例外4:第三者による源泉徴収(米国不動産持分を有する外国人による売却)
- 外国人による米国内の不動産に関する権利の譲渡の当事者である個人
ITINの例外5:TD(財務省決定)9363に基づく報告義務
TD 9363に基づくIRSへの報告義務がある個人。この例外を申請するための基準を満たしている場合は、フォームW-7とフォーム13350を記入しなければなりません。